【不動産売却で譲渡損失】損失がでても確定申告が必要?損失が出た場合の特例をうけるには

不動産を売却した際の譲渡所得がマイナスになった場合(譲渡損失が出た場合)、所得は発生しないので確定申告は不要です。しかし、確定申告を行うことで損失が出た場合の特例を利用できるケースがあります。ここでは、譲渡損失が出た場合の特例と、確定申告の手順と必要書類について解説していきます。

不動産売却で損失が出た場合の特例

不動産売却で損失が出た場合、一定の条件を満たしていれば損益通算という制度を利用することが可能です。損益通算とは、同年のその他の所得と損失を相殺することで所得税を軽減できる制度です。この制度を利用するには還付申告が必要なので、利用したい場合は確定申告を行う必要があります。

また、譲渡損失額が不動産を売却した年の所得よりも大きい場合は、繰越控除という制度が利用できます。これは、不動産を売却した年の翌年から最長3年間にわたって損失を繰り越して控除が受けられる制度です。つまり、最大4年間にわたって所得税や住民税の負担がなくなるということです。

なお、不動産を売却した際に損益通算と繰越控除を利用できる特例には、不動産を買い替えた際に利用可能な「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」と、不動産を売却した際に利用可能な「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の2種類があります。

これらの特例を利用するための詳細な条件は割愛しますが、どちらも売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超でなければ利用できません。

不動産売却で確定申告を行う際の手順と必要書類

不動産売却で損失が出た場合の特例を利用するには確定申告を行う必要がありますが、その場合はまず必要書類を揃えましょう。

不動産売却における確定申告では、確定申告書B・申告書第三表・譲渡所得・住民票・売却時の売買契約書のコピー・仲介手数料や印紙税などの金額が分かる領収書のコピーといった書類が必要です。

特例を利用するには、これらの書類に加えて、居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書・居住用財産の譲渡損失の金額の明細書・売却した不動産の登記事項証明書・買い替えた不動産の登記事項証明書・年末における住宅借入金などの残高証明書が必要になります。

必要書類が用意できたら必要事項を記入していきますが、国税庁のホームページ内の確定申告書等作成を利用すると、案内に従って記入していくだけなのでスムーズに作成できますし、自動で計算してくれるのでミスを防止することもできます。

提出書類が準備できたら、直接所轄の税務署に持参する・所轄の税務署に郵送する・オンライン(e-Tax)で提出するのいずれかの方法で提出しましょう。以上が確定申告の大まかな流れとなりますが、オンラインで提出する場合は事前に利用手続きを行う必要があるので注意が必要です。

譲渡損失が出た場合は特例が利用できるか確認しよう

今回は、不動産売却で損失が出た場合に利用できる特例と、確定申告の手順と必要書類について解説しました。損益通算や繰越控除を利用するには一定の条件を満たしている必要があるので、不動産売却で譲渡損失が出た場合はその条件を満たしているのか確認して、必要に応じて確定申告を行いましょう。